お魚よもやま話

神通川の鮎のドブ釣り ~伝統ある”加賀鮎毛針”を使って~

鮎釣りの一つに「ドブ釣り」と呼ばれるものがあります。
ドブ釣りは毛針釣りとも言い、虫に似せた疑似針(毛針)を使って釣ります。



<神通川のドブ釣り風景>

ドブ釣りのポイントは、川の流れによってできた深場(渕、トロ場)で水深が1m以上あり、底が玉石・岩盤などで形成され、常に水の綺麗な流心が近くにあるところです。

錘(おもり)で川の深みに毛針を沈め、川底から錘を水深の2/3位まで引き上げることを繰り返し、川底からの虫の飛び出しを演出し、食いついた鮎を釣り上げるものです。

現在流通している毛針は数百種ありますが、特効毛針とされるものが約40種あり、これらを季節、天候、時間、水深、
水色、水量など釣り場の条件に照らし合わせて「当たり針」を探して使います。

川面を飛び通うカゲロウや水中に棲む川虫に似せて、キジ、ヤマドリ、クジャクの羽毛、漆、金箔、蛇皮などを用い、鮎との知恵比べに、用と美を備えた様々な工夫を施し、鮎毛針釣り全体を「粋と美」のレベルまで高めています。

この毛針は加賀毛鉤として金沢を代表する伝統工芸の一つとなっています。

そのルーツは・・・



<毛鉤箱から毛鉤を選ぶ武士:金沢城下図屏風より>

加賀藩では武芸鍛錬の意味合いから竿を刀に例え、その動きは真剣での居合いの鍛錬になるとされ武士だけが鮎釣りが出来る特権を持っていました。

各自が毛針を作り、ただ釣るだけでなく、見た目の美しさも競い合いました。
実践と創意工夫を重ねて優れた毛針を考案していったと考えられています。

明治時代になると庶民にも鮎釣りが開放され、武士を廃業し専業の毛針屋になる者も現れ、現在も伝統工芸として継承されています。

この鮎の毛針釣りは簡単そうに見えて、鮎がいても毛針に見向きもしなかったりと難しくまた奥深い側面、があります。

また針先の返しを無くして釣り難くしてあるのは、針がかりしても、ちょっとしたことで外れるようにすることで、1年しか生きられない鮎にもめいっぱい生き延びるチャンスを与えようという「武士の情け」なのでしょうか。

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