煮凝り(煮こごり)

2014/7/29

煮凝り(煮こごり) ~料理のレパートリーが広がります~

ゼラチン質の多い魚の煮汁が冷えてゼリー状に固まったものが、煮こごりです。
この煮汁がゲル化する性質を利用して、煮込んだ料理ごと冷やし固めた料理のことも指します。
調理の段階で使用された素材の風味や調味料の味が凝縮されているため、濃厚な旨味がありそれが独立した料理とされる場合もあります。

コラーゲンが多い(煮凝りが出来る)魚介類は、アナゴ、ハモ、カレイ、ヒラメ、キジハタ(あこう)、カワハギ、フグ、エイ、アワビ、サザエなどです。

煮こごりを避けてしまう方がいますが、美容と健康のためにコラーゲンたっぷりな煮こごりも食べたほうがよいのです。
要はもう一手間かけて具材(煮魚の身や魚卵など)を加え、料理に仕立ててみませんか。レパートリーが広がります。

フグやヒラメなどの身や皮を適当な大きさに切り、醤油や酒、ショウガ等で作った煮汁で煮詰め、煮汁ごと型に流して冷やしたり、冷却に伴って自然にゼリー状の塊になったものを適当な大きさに切り器に盛って供します。ぷるぷるとしたゼリー部と内包された皮や身の食感の違いが楽しめて、また体温でゼラチン質が溶けることにより口中で旨味が広がる料理です。

2009年に神戸市須磨区で行われた須磨発B級グルメ発掘グランプリで、地アナゴの煮こごりを乗せた「須磨丼」が優勝しました。

柚子(ゆず)と酢橘(すだち)

柚子(ゆず)と酢橘(すだち)~香りと酸味で魚料理にアクセントを~

<白子の柚子釜>

<酢橘(スダチ)>

柚子和食文化に色と香りを添えます。英語やフランス語でも「yuzu」と表記され、日本料理を象徴する香りでお馴染みの柚子(ユズ)。
酸味が非常に強いことから生食には適さず、調味料や薬味として料理を引き立てる名脇役として活躍します。

例えば、外皮は薄く削ってお吸い物の吸い口にあしらったり、搾った果汁は鍋物に添えるポン酢として調合したり、あるいは中身をくり抜いて料理を盛る柚子釜に仕立てたりします。

酢橘は国内生産量の約98%を徳島県が占めます。鮮烈な香りと酸味が詰まった小さな果実です。酢橘は未熟な緑色の果実の方が香りが良いため、熟す前のものが主に出回ります。
旬のサンマの塩焼きや松茸を引き立てる薬味に最適です。搾った果汁やすりおろした果皮は料理の香りや風味を引き締めて、秋ならではの味わいを感じさせてくれます。
スダチの香りはすぐ逃げるので、スダチは食べる時に(刺身は一切れごとに)絞るのが良いです。

リヴォルノ風 カッチュッコ

リヴォルノ風カッチュッコ(魚介のトマト煮込み)を作ってみよう。

イタリアトスカーナ州リヴォルノ(トスカーナの海沿い)で、元々は漁師料理で、その日の揚がった売り物にならないような魚をまとめて鍋に入れて煮込んだのが始まりです。イタリア風海鮮鍋とも言うべきもので、ブイヤベースに似ていますが、ブイヤベースはサフラン風味なのに対し、カッチュッコはトマトソースベースです。
料理名カッチュッコ(Cacciucco)に「C」が5つ入ることから、5種類以上の魚介類を入れればよいとされています。
使用する魚は様々ですが、基本的に煮込んで美味しく、くせの少ない白身魚であれば何でも大丈夫です。例えば、助宋鱈、コチ、ホウボウ、イトヨリ、ガシラ、スズキ、メバルそれとホタテ、ムール貝、あさり、イカ、エビなどの魚介です。
魚介を豊富に加えることにより、それぞれから良い味がスープに移り、元々は素朴であった煮込みが実に深みのある美味しい料理に仕上がります。
作っていて楽しくて作りがいのある料理です。皆で取り分けるホームパーティにも向いています。

薫煙をかける(燻製づくり)

薫煙をかける (燻製づくり) ~深い味わいと色つやを楽しむ~

燻製は、原始(先人)の知恵と言われ、魚や肉を煙に燻すことによって、保存性を高めた調理方法です。

現在では保存方法の進歩・発展により、食品保存としての目的はほとんど無くなりましたが 、
”深い味わいと色つやを楽しむ”調理方法として、人気があります。

燻製には、冷薫・温薫・熟薫の3種類ありますが、このうち温薫(60~90度程度で数時間燻す)は晩酌のおつまみやおやつとして、中華なべを使ってキッチンや野外で簡単に作ることができますので試してみてください。

中華なべの底にアルミ箔を敷き、その上にチップを乗せます。写真のような丸網を置いて魚介(塩味つき)をのせ、
蓋(フタ)をして、そのままガスコンロの中火よりやや弱めで、約15分~20分ほど薫煙すれば出来上がりです。
すぐ食べたくなりますが、一日寝かせて熟成させると格段に美味しく深い味わいになります。

道具一式: 丸網は100円ショップで

アルミホイールを敷いてチップを乗せる。
煙が出るまで強火

煙が出てきたら網の上に食材をおいて
蓋をして中火で約15分

薫りの違うチップ材を選んだり、コーヒーやお茶の出し殻を少し加えたり、ザラメを加え、つやを付けるなどとアクセントを楽しむこともできます。

中華なべは薫煙と加熱を同時に行うことができますので簡単、便利です。
薫煙が出ますので、ご家庭ではキッチンの換気扇の下で行うようにしてください。
また、鍋が高温になりますので、火傷しないよう注意が必要です。

和食の旨味(うまみ)の原点

和食の旨味(うまみ)の原点 ~”昆布”の活用あれこれ~

昆布に包んでおく (昆布〆)

昆布に包んで炊く

昆布を敷いて焼く

 昆布に包んで蒸す
  水に戻した昆布でナメタガレイを包み、日本酒を振りかけ、蒸し器で10分ほど蒸します。
  蒸し上がったら昆布ごとお皿に盛りつけてポン酢や大根おろしと一緒に。

 この他にも、昆布を一かけ入れて飯を炊く・昆布を敷いて煮るなど、さまざまな活用術があります。

バースデイに寿司ケーキ

バースデイには寿司ケーキをつくってみてはいかがですか?

バースディパーティには、ケーキが付きものですね。
食べる時は、ナイフでカットして、ちらし寿司か海鮮丼を食べる時と同じ要領で召しあがります。
このケーキを目にしたときの驚きと歓声が聞こえてきそうです。
赤(マグロ、真鯛)、白(ヒラメ、イカ)、オレンジ(サーモン)、青(サヨリ)の花が咲きます。

海鮮キムチ

海鮮キムチ
 ~魚介の旨さに、ヤンニョムの辛さが混ざり合い絶品の味~

特製ヤンニョム(*)に魚介類を入れて、よく漬け込んで味を馴染ませれば海鮮キムチは出来上がります。
今回は生のホタルイカを使った海鮮キムチの作り方をご紹介いたします。

① 新鮮なホタルイカを用意します。(特に富山湾の物は身が厚く、甘みがあり、わたに濃厚な旨味があります)
② ホタルイカにヤンニョムを少しずつ混ぜ合せていきます。(最終的には7:3)
③ 混ぜ終わったら一定の温度で半日程漬けて(寝かせて)、熟成させます。
④ 容器に小分けし、4~5日冷凍します。(わたの入った生のホタルイカを使う時は、冷凍が必要です)
 ※ホタルイカ(イカ)の場合、冷凍しても味が落ちることはありません。

チャンジャーは、真鱈、スケトウダラの胃袋を一つ一つ洗い出して、塩辛にしてから冷凍状態で熟成させます。
それを再び水洗いし、水切りしてからヤンニョムを混ぜ合せていきます。
その食感はコリコリとしていてまるでアワビのようで、その味わいは多くの食通を唸らせます。
海鮮キムチは他に、イカ・カキ・ホタテ貝柱・タコ・甘エビなどがあります。
食べた後のヤンニョムは調味料として炒め物などに入れて下さい。キムチチャーハンや辛口の野菜炒めなどの味付けにはピッタリです。

(*)ヤンニョム(薬念)とは、
 ・韓国料理における合わせ調味料の総称です。
 ・唐辛子、ニラ、タマネギ、ニンニク、しょうがなど新鮮な野菜をタップリ使います。

旨味の源「昆布」パワー

旨味の源「昆布」パワー ~昆布の底力はすごい~

日本料理の出汁取りに欠かせないほか、料理素材として優秀な昆布ですがちょっと加えるだけで
グンと味をアップさせる「縁の下の力持ち」的効果もあります。

例えば塩漬けや味噌漬けを作る時、上に昆布を一枚のせておけば、奥行きのある味わいになります。
炊込みご飯にも、昆布を一枚入れて炊いてみて下さい。なるほどと納得できます。

昆布〆の他に、昆布の上に魚介を乗せて加熱する昆布蒸し、昆布煮、昆布焼きにしても素材に昆布の旨味が加わります。
イクラの醤油、酢〆の酢に昆布を浸すと、味に深みが出ます。

海鮮チゲ鍋

海鮮チゲ鍋

ワタリガニ、エビ、タラ、アサリ、ホタテなどを使った韓国風海鮮鍋。
コチュジャン、赤唐辛子たっぷりの本場の辛さ、魚介から染み出たスープが絶品。
赤い色が食欲をそそります。

最後は、麺か雑炊で旨みを味わい尽くすのですが、別腹にちょっと注意が必要です。

タラ、ホウボウ、カサゴ、イサキ、タコ、ウマヅラ、カワハギ、ヒラメ、マゴチ、イカなど数種類の魚介を使用すると
ダシがからみあって旨さ倍増、風味が増します。

韓国風ブイヤベースになります。

ズッパ・ディ・ぺッシェ

海鮮イタリアン「ズッパ・ディ・ぺッシェ」はいかが

直訳すれば、魚のスープ。色んなレシピがありますが、新鮮な魚介を丸ごと放り込んで煮込むだけの豪快で香り高い、見た目も華やかで美味しい料理です。

いわばイタリア版ブイヤベースとも言うべきもので、骨や頭から美味しいダシが出ます。
かさご、ほうぼう、キンメダイ、タラ、スズキなどの白身魚、アサリ、ムール貝、ホタテ、イカ、タコ有頭エビなどをトマトと白ワインで煮るだけのシンプルメニューです。トマトジュースを代用していただけますが、ポイントは入れる前に、汁をしっかり煮詰めること。煮詰めて水分を飛ばすことで旨味が凝縮されたスープが作れます。

魚介の旨味をたっぷり含んだスープも豊かで深いコクのある味で、絶品のパスタソースにもなります。
必須の有頭エビですが、これを伊勢海老でやると、食卓は「ワアッ!」という歓声で包まれます。
伊勢海老こそ、歓声をもって迎えられるこういう登場がふさわしいものです。
食卓が華やぐパーティーメニューに向きます。